正しいパチンコ

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パチプロけもの道 (田山幸憲)

パチプロけもの道は、有名なパチプロで作家の故・田山幸憲氏の処女作の「パチプロ告白記」とその続編の「続・パチプロ告白記」から抜粋・加筆修正して一冊にまとめられた本です。

ちなみに「告白記」「続・告白記」は絶版となっていて今では読むことができませんから、その内容に触れる事ができる本書はファンにとっては嬉しい一冊ですね。

「告白記」「続・告白記」の内容の中には、釘解説や技術論などもあったようですが、本書がまとめられた時点で時代が経過し古臭くなってしまったようなものも多くなっていたとの事で、そういった部分はカットされて田山氏の若い頃の思い出話や、パチンコ店で出会ってきた人々の話題が中心になっています。

田山氏は手打ち時代からCRデジパチ時代までを現役で通したパチプロですから、登場するエピソードや人物たちも非常にバラエティに富んでおり読み応えじゅうぶんの一冊になっています。少し抜粋してみます。

一見して御しやすそうに見えるチンパの道だが、いざその中に入ってみれば、テクニック上の問題だけでなく、いろいろと厄介な事情が絡みあって、思ったよりもはるかに厳しい。まあとにかく、パチンコ点で四六時中トグロを巻いているヤカラの風ぼうをよく見てくれたまえ、中には(私のような)例外もいるが、まず煮ても焼いても食えそうにない連中ばかりだろう。

あんな恐ろしげな兄さん方と、毎日”折り合い”をつけながらやって行かなければならない、というこの事実だけをとっても、この世界の流れにサオさすむずかしさを、ある程度までは理解していただけるものと思う。

今でこそ危ないオッサンみたいなのは少なくなりましたが、田山氏の時代はさぞかしハードだった事でしょう。逆に今は人相風体ではヤバイ人が区別しづらくなったという逆転現象が起こっているような気がします。

そういった面では少し難しくなったのかもしれませんが、それでもいきなり「オイコラ!」とやられる事はほとんどありませんから、日頃気をつけていればあんまり恐いトラブルに巻き込まれる心配はありませんね。今はやられるとしたらもっと陰湿です(笑)。

池袋の本屋に行き、「パチンコ入門」という本を手に入れた。今自分が最も知りたいクギの説明もかなりたくさん出ている。私は喜々として家へ戻り、戻るや否や机に向かい、細大もらさず丁寧に読んだ ~中略~ 

私は予定通り本に鑑みて、理想的なクギを探した。だが、クギを見ることに慣れていないため、一つの台を見るのに時間がかかりすぎる。その間、時おり、パチプロとハチ合わせになって、「じゃまだ、じゃまだ」と後ろへどかされた。 ~中略~

結局、私は十台ばかりのクギを調べて、その中から最も理想に近い台を選んだ。 ~中略~ 私は出るであろうことを期待しながら打ち始めた。百円、二百円、三百円・・・。たまにアタマとオトシに入って、玉がパラパラと出て来るが、その後が続かない。 ~中略~ 私はいやになってきた。

この後田山氏は、最後の百円で別の台に移り、いわば適当に選んだ台で偶然に「右サイドダブリ打ち」が有効な事を発見して逆転勝利を収めます。この頃の田山氏はまたパチプロになる前だったのですが、この事がひとつのきっかけになったようです。

それにしても本当に読ませる文章を書きます。手打ちパチンコの経験など全くない私でも、臨場感が伝わってきます。頭の中には当時のパチンコ店やパチンコ台、強面のパチプロの映像が浮かんできます。この本には、田山氏の若いころの話が盛りだくさんですから、こういった臨場感ある回想録もふんだんなんです。

「ぶっこみのテツ」は、その名のとおり、誰もが認めるぶっこみの達人である。 ~中略~

「ヒューストン号」と呼ばれた機械だったと思う。ぶっこみさえあけば必ず出るという”非常識”なパチンコ機がブクロの街にお目見えしたことがあった。それまであまりぶっこみにこだわらなかったわれわれは、はじめのうちこの機械にさんざん手を焼いたものである。 ~中略~

「ヒューストン号」はまさにヤツのためにあったようなものだった。この機械が入っていたのは半年ほどの期間だったが、初めの一ヶ月というもの「五千個一番乗り」は連日のごとくヤツの手によってなされていたのである。 ~中略~

ことぶっこみ打ちにかけてはこの男の右に出る者をオレは知らない。われわれ、いわゆる並のパチプロが五発打って一発通すところを、ヤツは二発に一発の割合でビシビシとぶっこみを抜いていく。

こういう凄腕のエピソードはもちろんの事ですが、自分で勝手に”不敗”を名乗っていた「不敗のノッポ」、方々めまぐるしく台移動してトータルで勝負する「マルチ小僧」、カギ使いゴト師の「ヤマアラシ」など、個性的な面々のエピソードを「パチプロアラカルト」と称して読ませてくれます。

今のパチンコとはシステムからして違います。だからこそこういった面白い話も色々あるのでしょうが、それ以上に田山氏の人間観察と文章力あればこその読み応えです。非常に面白い世界だとは思いますが、自分に置き換えると、こんな人達に囲まれてのパチンコ生活なんてたまんないでしょうね。ハッキリ言って冗談じゃないです(笑)

「必勝ガイド」に連載されていた「パチプロ日記」が有名な田山氏ですが、私の知らない時代のパチンコやパチプロの話や、田山氏のパチンコとの出会いなどが書かれたこの本は「パチプロ日記」とはずいぶん毛色が違っていて、とてもおもしろく読める一冊になっています。
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